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k)「ゴミ」なのか、それとも「情報」なのか?  し烈極めるスパムメール攻防戦

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「ゴミ」なのか、それとも「情報」なのか?  し烈極めるスパムメール攻防戦

       高くつくスパムとの戦い
          米企業、膨大な防止コストに悲鳴
…………………………………………………………………………………★★Cover Story

 深刻化するスパム(迷惑)メールの増殖。絶え間なく送られてくる無駄なメ
ールがネットワークのトラフィックを妨害するため、介在するISPにとっても撲
滅(ぼくめつ)が最重要課題となっている。しかし、スパムメールの問題はそ
れだけにとどまらなかった。受信側のシステムまで膨大な経済的損失を被って
しまうからだ。(矢野 雅仁)

■■被害コスト、今年だけで約100億ドル

 メールボックスに数通のスパムメールが届いた程度なら、電子メール・ソフ
トやISPが提供するスパム防止機能を使って取り除くことが可能だ。また、削除
キーを使って機械的に削除していけば、さほど時間がかからない。しかし、シ
ステム全体に与える被害となると話が違ってくる。

 スパムメールの送信コストは1件につき0.025セント程度。ダイレクトメール
や広告に比べて非常に安く、この手軽さが受けて新たなマーケティング・ツー
ルとして爆発的に普及した。もちろん、受信側にしてみても1件のスパムメール
を駆除するのにかかるコストなどたかが知れている。しかし、これが日に数十
億件となれば、通信帯域やストレージの拡大、サーバーのアップグレードなど
が必要になり、受信サーバーのコストは膨れ上がってくる。さらに、スパムメ
ー ルを駆除し、送信先を突き止めようとするならなおさらだ。

 調査会社フェリス・リサーチ(Ferris Research)は、米国におけるスパム
メールの被害コストが今年だけで約100億ドルに達すると警告する。バックボー
ン事業者大手のMCIもス パムメールのコスト高に頭を悩ます1社だ。

■■毎日5000〜1万件も監視すり抜け

 MCIはスパムメールの送信に関する苦情を1日50万件受け取る。同社は日々、
スパムメール送信者のアカウントをしらみつぶしに停止することで対応してい
るが、これが逆に同社の首を締めることになった。MCIの法務担当者によると、
スパムメール送信者は同社がいずれ通信を遮断するのを想定して、最 初の数カ
月にわたり計画的に支払いを滞らせるという。結果的にMCIが彼らのコストをか
ぶることになるわけだ。

 ネットワーク機器メーカー大手ノーテル・ネットワークスも、スパムメール
による被害コストに苦悩する。同社はこれまでにスパムメール撲滅を目指し
て、自社ネットワークの改良に努めてきた。こうした努力が奏功し、スパムメ
ールの割合を全体の10〜15%に抑えている。それでも、日に5000〜1万件のスパ
ムメールが同社の監視をすり抜けてしまい、従業員のデスクトップに届けられ
てしまう。1件当たりにかかる処理コストは1ドル程度と言われているが、 その
膨大な数を考えると、どれだけの損失をもたらしているのかは想像するにかた
くない。

■■防止技術開発した成功例

 スパムメールの対策に心血を注ぐISPもある。アースリンクなどは初期からス
パム防止機能を導入し、サービスの差別化に成功している。また、9000万件の
電子メール・アカウントを管理するアメリカ・オンライン(AOL)も独自のスパ
ムメール防止技術を開発し、日夜その撲滅と戦っている。

 たとえば、業者がスパムメールを100万人に送信すると、AOLのシステムがそ
れを感知して、送信前に単独ファイルとして保存してしまう。後は、興味のあ
るユーザーだけがそのファイルを閲覧するだけ。興味のないユーザーにはメー
ルが届かない仕組みだ。

 AOLは、日に25億件の電子メールを取り扱う。このうち削除するメールの件数
は実に80%に上るという。スパムメールを感知して瞬時に取り除くことで、ネ
ットワーク容量を無駄な電子メールで使い尽くすことがない。こうしてAOLのフ
ィルタリング技術は、大量の電子メールを削除することに成功した。昨年の電
子メール増加率が前年比70%だったことを考えると目覚ましい進歩と言えるだ
ろう。

 もちろん、中には電子メール送信が邪魔されたと憤慨するユーザーも少なく
ない。しかし、それは個人がスパムメールの洪水に対して有益な手立てがない
のを考えれば、トレードオフになるのではないだろうか。

■■安全利用にはお金かかる時代に 

 実際、スパムメールと間違われるケースは少なくない。オンライン・オーク
ション大手「eベイ」では、オークションの際に、買い手が売り手に連絡
を取ろうとするが、彼らが一度もメールを受け取っていないと主張する事件が
発生する。ふたをあけてみれば、スパムメール・フィルターが介在していたと
いう。評判を気にするウェブサイトにとってみれば、こうした問題は「スパム
撲滅の代償」として簡単に片付けるわけにはいかないだろう。

 スパムメールがもたらす損失はさらに続く。メールに隠されたいわゆる「フ
ィッシング」と呼ばれる詐欺商法がさらに個人ユーザーを攻撃する。フィッシ
ングでは、あたかも大企業から送られてきたような偽メールが暗証番号を問い
ただす。何気なく番号を入れてしまえば、その取り消しに大変な労力を費やさ
なければならない。仮に、盗まれたカード番号で商品が購入されてしまえば、
もはやスパムメールによる被害として立証することも困難だ。

 最近では、スパム防止サービスを提供する企業も登場してきた。しかし、そ
の多くが有料であり、ユーザー当たり年間2〜15ドルを要求する。気軽になっ
た電子メールだが、安全かつ快適に利用するにはお金がかかる時代に突入した
ようだ。


http://www.mainichi.co.jp/digital/coverstory/archive/200308/06/1.html






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